ごあいさつ

私は、6歳の頃に来日をし、15年間この「日本」という環境で育ってきた。
ガーナを出てから、日本の土地に、踏み出した初めの一歩のことは鮮明に私の記憶に残っている。
不安に押し粒されそうだったのを今でも覚えている。そう、あの時の飛行機の中での出来事も。 「過去の記憶、思いは全て、祖国ガーナにおいておきなさい。お前は、日本で新しく生まれ変わり、今日がお前の誕生日だ。」という父の言葉、遠くに見える祖国の光景は今でも私の脳内に鮮明に残っている。
1997年4月26日、私は、もう一つの祖国、日本と出会った。
あれから15年の月日が経つ。私が今こうして、毎日たくさんの夢と希望を持って生きられているのは、日本のおかげであると私は自信を持って言える。
日本の優しさ、日本の厳しさ、日本の素晴らしさのおかげである。私がこうして、日本社会に溶け込み、日本人的な視点を培うことが出来たのも、あの時に笑顔を振りまきながら、私に向かって「ハロー」と声をかけてくれた小学校の友達のおかげである。 私がこうして、焼きそば、味噌、豚骨ラーメンなどの日本食をなによりも愛してやまないのは、あの時に、おかわりはたくさんあるよ、と力強く言ってくれた、大好きな日本のおじちゃんとおばちゃんのおかげである。私が自分は恵まれているのだと気づくことが出来たのも、力一杯、涙を流しながら叱ってくれた、中村先生のおかげである。
高校2年の時、私は、第2の実家、新潟県魚沼市での地域活性化コンクールに応募し、作文を発表する機会を頂いたことがある。
大ホールのステージで、「日本を代表するお米コシヒカリをアフリカへ!」と、高々と叫んだあの頃から4年が経った今でも、私の思いは変わらない。
日本にある数え切れない程の"誇れるもの"。日本独特の文化習慣、「おもてなし」もその一つである。私は、この経験、感情を祖国に届けたい。愛する国、そして第2の祖国、日本が私に与えてくれたものを、分かち合いたい。 日本と我が母大陸アフリカを繋げること、それが私の夢であり、私がここに生きる理由である。
昨今、日本では自殺率が増えているということや、自国に対して誇りを持てない人達がいるというニュースを聞くと、とても悲しくなる。
この国の素晴らしさは、外から見ないと分からないのだろうかと時として思うこともある。不景気と称され、世界中の経済動向が危ぶまれている中、それとは反してアフリカの経済の成長率が著しい傾向にあるということは、2010年度のアフリカのGDP成長率が世界平均を上回っているというアフリカ開発銀行の発表からも伺える。
生まれ故郷アフリカの持つ、豊富な資源、独特のパワー、そしてエネルギーなどがこれらを可能にしている事はいうまでもない。今、日本人である「私達」が必要としているものを、アフリカは持っており、アフリカが必要としているものを日本は持っていると、私は強く信じている。
発起人 アナボヌ ユウジン (ガーナ出身、独協大学4年生)